ダブルコードテクニックは、歯肉溝液や出血をコントロールし正確なマージンの印象採得が行える非常に有効な方法です。
2次圧排糸の圧力によって内縁上皮は外側に押し広げられ、印象時には一時的に歯肉縁は外側、根尖側に移動しています。この結果マージンに歯肉が被ることなく確実な印象採得が行えます。健康な歯肉では、圧排法は内縁上皮を外側に押し広げるだけで上皮付着を剥離していません。したがって印象後、速やかに圧排糸を撤去することによって歯肉縁は元の位置に戻ります。ただし、極端に付着歯肉が薄く、幅が狭い症例では歯肉退縮に注意する必要があります。
【右写真】
歯肉圧排に用いる圧排糸と圧排糸挿入用インスツルメント
(参考製品名:ウルトラデントジャパン株式会社 ウルトラパック・ウルトラパッカー)
最初に細めの圧排糸(1次圧排糸)を歯肉溝内に挿入する。圧排糸に止血剤(ビスコスタット等)を含浸させておいても良い。
引き続いて、若干太めの圧排糸(2次圧排糸)を挿入しておく。歯肉溝が浅い場合には無理に挿入せず、上からテンポラリークラウンを用いて軽く圧迫するだけでもよい。
印象直前に2次圧排糸のみを撤去する。そして1次圧排糸が歯肉溝底に挿入されたままの状態で印象採得を行う。印象採得が終了したらすみやかに1次圧排糸も撤去する。