現代のVR/MRヘッドセット設計者に求められているのは、仮想世界と現実世界をシームレスに融合させることです。そのためには、ユーザーに没入感の高い視覚体験を提供しつつ、デバイスはスリムで軽量に保つ必要があります。この難題に対する革新的な解決策が、AR/VRレンズの屈曲光学系です。
屈曲光学系は「パンケーキ光学系」とも呼ばれ、光路を折り畳むことで鮮明な画像や広い視野(FOV)を実現します。同時に、この光学技術はデバイス全体の薄型化を可能にします。3Mは独自開発の反射偏光フィルム技術と屈曲光学系を組み合わせてVR/MRヘッドセットに応用できることを実証した、先駆的企業として高く評価されています。
当社が保有するVR光学系関連の特許は180件以上に及びます。この卓越した技術力が、世界有数のブランドとの提携を実現し、最先端XRソリューションの商品化を推進しています。
国際情報ディスプレイ学会「2022 Display Component of the Year」を受賞
3MはVRとMRの可能性を実証するため、画期的な3M™ 高精度反射偏光(HARP)レンズを開発しました。この独自の光学系設計により、3Mが屈曲光学に関する高度な専門知識を持つことが証明されました。
3M™ HARPレンズの特徴は、複屈折反射型偏光子を採用している点です。この技術により、VRヘッドマウントディスプレイ用のコンパクトな中画角接眼レンズや広角光学素子の製造が可能になりました。屈曲光学系をレンズ設計に巧みに取り入れることで、従来よりも優れた性能を実現しています。
大規模な研究開発と当社の先進的な光学フィルムシステムのモデリングを組み合わせることで、パンケーキ光学系の潜在能力を最大限に引き出すリファレンスデザインを構築することができました。
ヘッドセットの見た目と使い心地は、製品の成功を大きく左右します。3M™ の仮想および拡張現実表示デバイス向け反射型偏光フィルム(IQP™: Image Quality Polarizer Films)による屈曲光学技術を活用することで、ブランドを視覚的に表現しつつ、簡単に装着できる快適さと軽量でスリムなデザインを実現することができます。
大きく不格好なヘッドセットは過去のものとなりました。3M™ HARPレンズ(当社独自の屈曲光学系設計)を使用したPegatronのプロトタイプヘッドセットは、フレネルレンズモジュールを使用した従来のヘッドセットと比べてレンズモジュールの厚さを50%削減し、ヘッドセット全体の厚さも40%削減することに成功しています(プロトタイプヘッドセットの測定に基づく)。この改良により、ディスプレイと目の間の距離が短くなり、使用するプラスチックの量が減少して全体の重量が軽減されました。さらに、頭部を支える構造の簡素化の可能性も生まれています。結果として、バランスの取れたデザインが実現しました。
没入感の高いVR/MR体験を生み出す鍵は、現実世界と見分けがつかないほどリアルな映像にあります。3M™ の仮想および拡張現実表示デバイス向け反射型偏光フィルム(IQP™: Image Quality Polarizer Films)を用いた屈曲光学系は、人々に新たな可能性を示します。企業向けアプリケーションにおけるテキスト表示のコントラスト向上から、まるで写真のように精密な視覚効果の生成まで。世界中のコンテンツクリエイターたちに、これまでにない可能性をもたらします。
VR/MRヘッドセットで真の没入感を体験するには、ディスプレイから目まで鮮明な映像を届ける必要があります。3Mの反射偏光フィルムを用いることで、広いアイボックスで高コントラストで高解像度の画像を送信できます。
さらにこの技術は、最新のMicroLEDやMicroOLEDディスプレイとの互換性も備えています。つまり、従来のかさばるLCDディスプレイからコンパクトなディスプレイへの移行が可能で、画質を損なうことなくヘッドセットの小型軽量化を実現します。
3Mの反射偏光フィルムによる、広角でゴッドレイのない非常に明瞭な映像の実現
変調伝達関数(MTF)は、レンズ系が物体の像を生成する際にコントラストを維持する能力の尺度です。物体の解像度が上がると、系収差のためMTFは低下します。
3M™ HARPレンズは、± 25°の視野にわたり、空間周波数50ラインペア/ミリメートル(lp/mm)で40%超のMTFを示しました。このことは、映像はより鮮明になり、テキストの読みやすさが向上することを意味します。
上の表は、複数の画角で選択したピクセル解像度について、MTFの測定値とモデル化結果の両方を示したものです。MTFの測定値は、Zemaxでモデル化した結果とほぼ一致することが示されました。3M™ HARPレンズは、9ミクロンという小さいピクセルの場合でも許容可能なMTFを示しました。
3Mのフィルム技術は、最高品質の画像を実現しながら、複雑な設計上の課題を解決する革新的なソリューションを提供します。当社の光学フィルムは、3D積層やインサート成形が必要な場合もレンズに順応します。さらに、曲面の反射偏光子表面を作り出すことができるため、設計者には従来よりも幅広い選択肢が与えられます。
典型的なメリット:
拡張現実(AR)技術は、現実世界に仮想映像を重ね合わせることで、これまでにない体験を可能にします。たとえば、外科医が手術中にリアルタイムで患者の健康情報を確認したり、図書館で古代の書物から特定の段落を瞬時に見つけ出したりすることが可能になります。
3Mは、この革新的なAR技術をさまざまな分野に応用すべく、積極的にソリューション開発に取り組んでいます。一般的に知られているメガネ型のARデバイスに加え、自動車のフロントガラスへの応用など、新たな可能性も探求しています。自動車分野での用途についての詳細はこちらをご覧ください。
3Mの先進的なAR/VR/MRソリューションはこちら。
EMI性能が最適化されたXRデバイスの設計をサポートします。